Good morning, Vietnam

ベトナム
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数年前からベトナムの技能実習生が職場に来ています。インドには興味があってよく勉強しましたが、ベトナムといえばベトナム戦争くらいしか知らず、まったくのノーマークだったので、いろいろと新しい発見があって楽しいです。何でもそうですが、本とかインターネットの情報と現実は、いささか異なるので、やはり実際の姿を知ることは大切だと思わされます。

1 ベトナムは共産国家です。けれども中国みたいな独裁国家ではなく、ある程度、民主的に統治されているようです。長年にわたり中国の侵略を受けてきて(日本も一時的に侵略したらしい)、またフランスにも占領されたため、結果として、国民としての独立心、団結心が非常に高くて、国家を愛する思いが強いようです。その点、今の日本人とは正反対です。

2 国民が皆若くて、生き生きとしています。彼女たちから見ると、日本人は総じて元気がないと映るようです。たしかに日本の若者は、現在、就職するにも困難があって、先が見えないので、不安の中に生きています。一昔前はこんなことなかったのですが、いったい誰が悪いのかなと思います。けれどもこんな状態は、いつまでも続かないでしょう。

3 ベトナム戦争の後遺症のためか、北と南は未だに完全には打ち解けておらず、北ベトナムの人、南ベトナムの人、といった感じで、互いを意識しているようです。ベトナム戦争のことを聞くと、人によっては嫌な顔をして、話題を避けようとします。南ベトナムにはアメリカに協力した人が多くおり、そんな人は政府とはうまくいっていないようです。また、勝利した北ベトナムの方が裕福かと思えば、そうではなくて、南ベトナムの住民の方が豊かな生活をしており、そんな彼らの中には、アメリカとかオーストラリアに進出する人もいるそうです。食べ物も北と南ではずいぶんと異なります。ベトナム料理といえばフォーが有名ですが、南ベトナムの人はフォーを食べないというので、ビックリしました。その代わりに、同じく麺類のブンとかいうものを食べます。日本と同じように、南北に長く伸びた国家なので、南と北では気候が異なっており、それが食べ物や性格にも反映されているようです。

4 ベトナム技能実習生というと、テレビで話題になったように、貧困家庭の出身かと思っていたら、大卒の人がたくさんいて、意外な感じがします。家の写真を見せてもらったら、大きな家と庭があって、日本人の我々よりも豊かに見えます。けれども日本の物価とベトナムの物価は4倍異なっていて、ベトナムの平均月収は2~3万円くらいだそうです。この数値は平均なので、田舎だと1万円くらいの人もいるようです。都会では物価も高くて、その分、月給もあがるそうです。それゆえ彼らが日本に来て3年も働き、200万円を貯金したら、ベトナムの価値では800万円にもなります。20代の若者にとっては一財産です。ひとつ、日本で頑張って、ついでに日本語も勉強して、日本のことも知ってみようか、というように、希望に満ちて、みなさん、働いています。

5 ベトナム人は全体的に陽気で、フレンドリーな人が多いです。話していたら、突然、腕を握ってきたりします。若い女性に腕を握られたりするとドギマギしてしまいす。私なんか「お父さん」と呼ばれるのですが、お父さんと呼ばれるのは、少し抵抗があります。昭和のおやじみたいです。せめてモダンな感じで、パパ、などと呼ばれるのがいいかなと思ったりしますが...パパ...うーん、パパというと、なんだか、少し、意味が変わるような気がします。じゃあ、お兄さんがいいかな...お兄さん...お兄さんだと、夜に繁華街を歩いていて、暖簾の向こうから、ちょいとお兄さん、という感じにも聞こえます。やっぱりお父さんでいいか。

6 ベトナム料理は日本料理とは味付けが全然異なり、総体的に、辛い、苦い、酸っぱい、といったものを好みます。辛さへのこだわりは相当なもので、私だと辛さのみ感じて、食べ物の味は分からなくなるほどです。肉を好んで食べますが、カエルにはビックリします。けれどもカエルは食べると美味しいそうで、ベトナムでは高級食品のようです。日本でも昔は食用ガエルがありましたが、今はあまり見かけません。どこにいったのでしょうか? また豚の耳を、コラーゲンが豊富で、美容にいいと言って食べる人もいます。ホビロンって知ってますか? 孵化直前のアヒルの卵を蒸したものですが、栄養があるので、ベトナムや東南アジアでは好んで食べるそうです。けれどもあれは生きたまま調理しているので、グロテスクで残酷です。ちなみに、昔は犬を食べたそうですが、最近は食べずに、ペットとして飼う人が多いようです。カエルも、ホビロンも、犬も、食べ物がない、貧しい時代の名残りのように思います。

7 ベトナムでは、特に南ベトナムでは、果物の種類が豊富で、日本にあるものはすべてあるそうです。おまけにどれも非常に安くて、100円も出せばたくさん買えます。また買わなくても、森とか庭に自然に生えているので、いつでも手でもいで食べることができます。「お父さん、私たちベトナムに帰るときに、一緒においでよ。果物なんか食べ放題だよ!」とか言って誘ってくれますが、インドで食あたりしてから飛行機に乗るのが怖くなっている私は、「そうだねえ...」などと、言葉を濁しています。

8 ベトナムは仏教国です。ほとんどの人が仏教徒だそうで、そんな彼女たちは、毎月、満月と新月の日には、菜食主義者になります。また願い事が叶うと、一週間ほど肉食を絶って、感謝するようです。近所にベトナム料理屋さんがあり、中では小さな仏像を飾っているので、これは誰ですかと聞くと、観音菩薩だそうです。東南アジアでは観音信仰が盛んだそうです。ちなみに、ベトナムにも新興宗教があって、その代表的なのがカオダイ教ですが、その御本尊?とされるのが、大きな球体に描かれた目玉で、その写真を見ると、なんだか漫画に出てくるような感じで、こういうと不謹慎ですが、面白いなあと思ってしまいます。