月の涙

あの時も夜空では月が泣いてくれた

ひたひたと冷たい涙を流してくれた

何も語らない月だけが僕の理解者だった

年月を経た今も悲しみに目の潤む夜はある

涙のたまった瞳にうつる月は

やはり

悲しみに揺らいで泣いているようだ

でもおまえは昔と少しも変わらない

おまえははじめから完全なるものなのだ

ただ僕だけが老いていく

流す涙は歳とともに変わってきた

だがおまえの流す涙は

昔と同じく冷たい涙だ

その涙がどんな悲しみか

いつか僕にわかる日があるだろうか