月夜

月は満ちて

蒼ざめた顔を開き

夜は深まりて

夜露に濡れた蕾が目覚める

霧は沈み落ち

月光に映えて草原をつつむ

狼は吠え

梟は叫び

霧の中を木霊が走る

疾風が吹きすさび

森が泣く

花が散る

暗雲が流れ去り

夜が沈黙するとき

月はさしかかる

中天に

その時

眠りつづけた天使は

涙で濡れた瞳をあけ

月夜の下に 自分の国の始まるのを見る