好みの英語小説の見つけ方

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英語の小説を読むのに必要なことは、好みの作家を見つけることです。邦訳で気に入った作品、例えば「ハリーポッター」や「ライ麦畑で捕まえて」などの原書を読むと、理解が早くて勉強になるという意見もありますが、話の筋を知っている本を読んでも、英語の勉強になるだけで、はっきり言って、退屈です。思い切って知らない作家の小説を読むのがいいでしょう。参考となる翻訳本がなければ、これからどんな世界が展開されるのかと、わくわくしながら読めます。しかしながら、ハズレを引く危険性が大いにあるので、覚悟が必要ですが。

一番安全な方法は、大型書店の洋書コーナーに並ぶ作品から選ぶことです。ここで売っているものを買うなら、大きく外すことはないでしょう。書店員の方々が自分で読み、感想を書いていることもあります。ぼーっと立っていると、若い女性店員が「あなた英語読めるの?」と言った目で見ることもありますが、気にしないことです。「インテリぶるなよ、おっさん」という、若者の軽蔑の目にも、慣れる必要があります。運が良ければ「おお、頑張っとんねんな」という、外国人の励ましのまなざしもあるでしょう。

日本の小説でも、好みの作家とそうでないのがあります。人からいい本だと勧められても、自分にとって面白いかは別です。実際に読んでみないことにはわかりません。ノーベル賞受賞者であっても同じことです。話は変わりますが、少し前まで、日本の小説が英訳されるのは稀なことで、そのような事実ゆえ、外国人の目に留まる機会は少なかったようです。また英訳された作品も、日本人の目から見ると、少し意味が違うよ、というのがあります。それゆえノーベル賞を取ったからといって、日本で最も優れた作家とはいえないでしょう。かといって、川端康成や大江健三郎が劣っているという意味ではありませんが。ただ、川端康成の「雪国」についていえば、有名な冒頭部分である、「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった」の英訳は、「The train came out of the long tunnel into the snow country」となっていますが、意味は同じでしょうが、この翻訳文には何かが欠けています。この英文からは、暗いトンネルを抜けた瞬間、目の前にぱっと、真っ白な雪景色の世界が現れるという、インパクトを感じることができません。

話を戻しましょう。お気に入りの作家を探す最終手段。それは芋づる式です。芋づる式とは何か?例えば、英国公共ニュースサイトのBBCでは、今年のお勧めの小説や、新進気鋭の若手作家の作品が、定期的に、その評価とともに掲載されています。その概要を見て、気に入った作品を手にいれることです。また、英語のサイトをブラウジングしていると、面白そうな作品を紹介していることがあるので、それらを購入するのも一つの方法です。もちろんこのやり方だと、ハズレを引くことが多々あります。けれどもだんだんと感覚が分かってきて、ハズレをひかなくなります。このようにして気に入った作家が見つかれば、アマゾンのサイトで関連する作品を調べ、そこから気に入りそうな作家をさらに探していきます。これが芋づる式の探し方です。ちなみに、日本の場合、百年も前の小説は、文体が変わり、語彙も変化しているため、日本人であっても読みにくいことがあります。けれども英語の場合、数百年たってもそれほど変化しておらず、それゆえ違和感なく読むことができます。これは利点でもあります。つまり、昔の英語の小説は、Project Gutenberg というサイトで、無料で読むことができます。ここにはコナン・ドイル、O・ヘンリー、オスカー・ワイルド、マーク・トゥエイン、ジェーン・オースティンといった、錚々たる著名作家の作品が多くあります。日本の青空文庫のようなものです。

洋書を買うならアマゾンが便利です。こだわりがなければ中古で十分でしょう。洋書を買う場合に注意すべきことは、洋書には、ハードカバーとペーパーバック以外に、図書館バージョン(丈夫な装丁)、マスマーケットバージョン(字が小さくて本も小さく、紙も安そう)があることに留意する必要があります。古くなった図書館の本を売っているのにはビックリしますが、盗品ではないようです。マスマーケットバージョンは字が小さく読みにくいので、お勧めではありません。またアマゾン以外に、英国のBook Depositoryでも、日本まで無料で配送してくれます。アマゾンよりも安い場合も多々あります。

最後に個人的なお勧め作家を以下に列記しておきますので、参考にどうぞ。
Penelope Fitzgerald ーー上品な文体で、エログロ、暴力シーンはなく、読んでいると、新しい世界の展開にワクワクします。物語を進めるのに、劇的なことがなくても十分だと、納得させられます。
Alice Munroーーノーベル賞作家。短編が中心で、良心的な小説が多いです。
V.S.Naipaulーー同じくノーベル賞受賞者。やんちゃな感じのおっさんですが、楽しくなる小説が多いです。
Kazuo Ishiguroーーやっぱり、ノーベル賞受賞者。本人も言っておられますが、文体はとても簡単です。「The buried giant」,「Klara and the sun」。両方ともいい小説です。最近の作品の方が優れているように思います。
George Orwellーー文章はぜんぜん難しくありません。いかに読みやすい英語を書くかと言うことに腐心されて、動詞の名詞化を避けるべきだと提言されました。代表作は「1984」ですが、日本語の訳本を手にした時、その難解な文体に、難しい哲学的小説かと思っていましたが、原著は非常に読みやすくて、まったく難しくありません。分類は娯楽小説で良いと思います。翻訳の重要性を痛感しました。
Karen Russellーージョークのような小説を多く書かれます。日本における森見登美彦のようです。

個人的に長編は苦手なので、短編集をよく買います。以下のものがおすすめです。短編集は何が書かれているのか読むまで不明なので、ロシアンルーレットのようで、ある意味、楽しいです。
The Pen/O.Henrey Prize Stories
The Best American Essays
The Best American Short Stories
Best British Short Stories
Pen America Best Debut Short Stories