偕和會の聖堂について

偕和會の聖堂
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東京には偕和會の聖堂があります。この建物は2002年に建てられましたが、会員が喜捨するという負担を感じないように、建設中であっても一部の人にしか知らせず、絶対に会員には告知しないようにと指示されました。聖堂が完成した時には全国から会員が集まりましたが、その式典において先生は、聖堂を造るのに用いた木材などは、最高のものを使っていると言っておられました。話は変わりますが、偕和會発足当初、ある人はいくらかを資金として提供したのですが、晩年になり、先生から「これはあなたからお借りしたものなので、お返しします。どうもありがとうございました」といって返却されて、自分は喜捨したつもりなのに、と困惑していました。先生は、人に借りを作ってはいけないといつも言っておられたので、ご自身でもそのようにされたのでしょう。

聖堂は2階建てとなっており、1階には事務所があって、階段を上った2階が礼拝の場所となっています。地下には大きな集会所があり、先生が御存命の頃には、毎月ここで祈祷瞑想会が行われていました。会員には宮田為義という画家がいるのですが、ここには、その方の書いた達磨大師の絵が飾られています。宮田さんはこの絵を先生にプレゼントしたのですが、先生は、せっかくだから皆さんにも見てもらうようにと、聖堂に飾られたそうです。礼拝所の前室には、シャガールが描いた、ヘブルの民12支族をテーマにした12枚のリトグラフが飾られています。これらは先生が自分で購入されたのですが、シャガールはユダヤ人ですが、先生と何か関係があるのでしょうか?

礼拝場所に入って座ると、その正面には、簾の向こうに、うっすらと、神殿があるのが見えます。その中央には、一段高くなったところに木箱が置かれて、その扉はしまっていますが、中には、仏師に彫ってもらった、白檀でできたクリシュナの立像が奉納されています。寺院の秘仏のように、それを見ることはできず、見たことのあるのは一部の人だけです。木箱の前には神言の書が置かれて、両脇には大きな榊が飾られています。そしてその前にはお米、水、果物、花などの供物が置かれています。簾の中に入ってはいけないのですが、以前、ある人がそれに背き、中に入って瞑想したそうです。するとその翌日には両脇の榊が枯れてしまったとのことです。ちなみに、クリシュナの立像はすべてで3体造られて、ひとつはこの聖堂にありますが、もうひとつは偕和會西日本事務局の神殿に祭られています。最後の1体はどこにあるのか、それは謎です。そのうちに、偕和會の7不思議とかが言われるようになるかもしれません。

冗談はさておき、以上のことから分かるように、この聖堂はクリシュナを祭る神殿となっています。クリシュナを祭る寺院は、インドにはありますが、それ以外には、この東京にしかありません。「光は東方より」という言葉が指すように、この日本の地から世界へと光が広がっていくことになりそうです。いずれ世界中にクリシュナの聖名が伝わるようになる、と先生は言っておられます。神様は、聖堂だけでなく、我々の身の回りのどこにもおられて、また我々の心の中にも存在されます。イエス・キリストも「神殿は我々の心の中にある」と言っておられます。けれども煩悩に穢れた我々には、それを感知することができません。それゆえ、我々が神の光を受ける場となり、信仰のよりどころとなる、目に見える具体的な場所となるところに、この聖堂の存在意義があるとのことです。

聖堂からは光の塔が天に向けて聳え立っているそうです。まるで旧約聖書に出てくる「ヤコブの階段」みたいです。イサクの息子ヤコブが見た夢の中に、天まで届く階段が現れて、天使たちがその階段を上ったり下りたりしていたそうですが、それと同じように、この聖堂には神様がいて、そこを天使たちが守っているとのことです。小さな子供の中には、それが見える子もいるそうで、私も見えないかと、聖堂に行った折には目を凝らして周りを見渡したり、簾の奥を眺めたりするのですが、当たり前ですが、何も見えません。けれどもある時、色々と悩みがあり、解決できないので「なんだ、神殿に来ても同じじゃないか」と思った瞬間、「そんなことを言われても困る」という、自分ではない第3者の思いと、そのように困った表情の顔が、心の中に浮かんできたので驚きました。このことから、やっぱりここには天使がいるんだと実感しました。このようなところで毎日働ける偕和會の職員はうらやましいなあ、とも思いますが、先生は職員に向けて「けれども実社会での経験という面では、マイナスとなります」という趣旨のことを言われたことがあります。自分自身は今、実社会でぐちゃぐちゃになって生きていますが、これも自分のこの世での役割と考えて、その中で知ることが多くあるのだろうと思っています。

堀田和成先生は「聖堂には神様がいるので、困った時には来て祈ってください」と言われます。そして「災害などでも、不思議なことに、いつも東京は守られています」とも言われます。東日本大震災の時、海底で断層のずれが生じたのですが、それが東京の方まで伸びてきたとき、千葉県の沖合あたりでピタッと止まったそうです。また考えてみますと、映画「フーテンの寅さん」や漫画の「こち亀」など、この辺りを中心に描くものが多くあり、これはこの地に神様がいるので、引かれて集まってくるのかな、と思ったりします。