英語の小説の読み方

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英語の学習で、最も効果的なのは、たくさん読むことです。「英語は多読」といわれますが、まさしくその通りと思います。世間では英会話が主流で、あちこちに英会話スクールがありますが、海外旅行をした人ならわかりますが、会話は身振り手振りでもある程度通じます。けれども英会話の学習だけでは、内容のある会話は成立しない。やはりボキャブラリーが必要です。そのためにはたくさん読むしかありません。単語帳が出回っており、丸暗記するという手もありますが、なかなか、苦痛です。

小説の読み方にはコツがあります。まず厄介なのが、人名です。外国人の名前は、日本人にとっては、男性か女性かの区別が難しい。さらに日常会話では、略称で呼ぶことが多く、たとえば、エリザベスはベス、エリックはリック、レナードはレニーなど、これならまだ推測がつくものの、アンがナンシー、ドロレスがロリータ? となると、調べないと分かりません。また、日本語は漢字とカタカナ、ひらがなが混在しており、視認性が良好で、それゆえ読んでいる途中で、あれ、この人誰だったかなと確認するためには、ページを前にめくっていけばすぐに把握できます。ところが英語はアルファベット26文字の連続なので、人物が誰か調べようとすると、目を皿のようにして探さなければならず、ついには、読むのをやーめた、と投げ出しそうになります。だから、英語の小説を読む場合は、人物が出て来るごとに、紙に記録していった方がいいです。

次に、発言しているのは誰かを理解することですが、これは比較的に簡単です。一つの段落の中での発言は、そこに描かれている人の発言で、これは原則のようです。複数の人が同じ段落内でしゃべっていると混乱しますが、その場合は、その段落の中で、その発言の一番近くに記述された人のものです。中にはそうでないものもあるようですが、その場合、ネイティブの人も困るようです。

一番の問題は、代名詞です。代名詞を頻繁に使うとかっこよく見えますが、読者が混乱する原因になります。つまり、itとthey、them,または、itsとtheirの問題。特にtheyの場合、それが人間なのか、物なのか、区別できないとだめです。そしてそれらの代名詞が何を指しているのか理解する必要があります。それは、その代名詞の一番近くに書かれている物、または人を指すことが多いですが、中には文章全体を指したり、抽象的になったりもするので、混乱することがあります。ちなみに、小説家のスティーブン・キング氏は、執筆の最後の校正では、代名詞を徹底的に除くといっておられます。そうすれば誰でも、頭をひねる必要もなく読めるし、そうすれば読者も増えますからね。読者を無視したなら、その人の書いた文章は、人から敬遠されていきます。

次に文化の違いがあります。移民問題とか人種問題は、その歴史も含めて、日本人には少しわかりにくいところがあります。また西洋では、homosexualの方が多くおられて、それが普通のような状態なので、そういうのが苦手な人は困ります。二人は愛し合っていた、そしてベッドに行き...と読んでいって初めて、あれ、このふたり、男同士じゃないか、とビックリします。さらには、麻薬の使用が日常的なこととして描かれ、気をつけないと、読んでいるうちに感覚が麻痺してきます。私の場合、苦手な内容だと、すぐに読むのをやめます。

小説には、小説用のボキャブラリーがあり、文体があります。これはニュース記事やエッセイにもいえます。ニュース記事は気軽に読めますが、表現が限られているので、次第に飽きてきます。以前、TIMEやNEWYORKERなどで頑張っていましたが、だんだんと飽きてしまい、やめてしまいました。また日本で出回っているアメリカの雑誌は、リベラル系のものが多く、その偏った論調に、読んでいて辟易したのをおぼえています。一方、小説は作家ごとに文体が変わるので、頭がゴチャゴチャになる覚悟で読めば、けっこう、勉強になり、次第にボキャブラリーも増えていきます。ストーリーを読むという楽しみを味わいながら、勉強することができます。

最後に、つまらないことですが、英語の文章はパラグラフで構成されていて、そのパラグラフ内に段落が存在しています。日本語の文章では、各段落のはじめを一文字分、空けますが、英語の場合、パラグラフの一番はじめは、空白を作らず、段落のはじめの部分を一文字分空けるようです。