赤いバラ

散っていけ

散っていけ

赤いバラが

バラの花が

その花びらが

黒く枯れ

干からびて

小雨に濡れ

涙を流し

夜風に吹かれ

悲しそうに

散っていこうとしている

まだ緑なる茎の

その先にしがみつき

散りゆくのをためらっている

散っていけ

散っていけ

美しく散っていけ

もうおまえに残っているのは

美しく散ることだけだ

散ってこそおまえの生は完成される

散ってこそまた新しい生命が生まれてくる

虫に食われて死ぬ花もある

手折られて枯れる花もある

だがおまえは美しく花を咲かせえたのだ

誰よりも美しい生を生きたのだ

だから散っていけ

美しく散っていけ

潔く散っていけ

嬉々として散っていけ

散っていけ

散っていけ

赤いバラの花よ